いつしか

1/1
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

いつしか

「ねぇ、ンジャヤ、お願いだよ」 「やだよ、魔ネズミなんて戦えないよ」 「ねぇ、ンジャヤなら出来るでしょう?」 「あたしたちには絶対無理!怖いもん」 「……魔兎退治なんてやりたく無いんだけど」 「ンジャヤがいれば安心だよね!」 (なんで、自分ばっかり)  グニは潰しても、潰しても現れるものだ。  いつしか子供たちの間で、グニ退治はンジャヤの担当になっていた。ンジャヤは嫌だと言ったけれど、他の子供たちは誰も、グニを潰そうとしない。  いつしかそれが、魔ネズミになり、魔兎になった。  初めは恐ろしかった。嫌々ながらでも、ンジャヤはそのうちコツを掴むようになっていた。今まで一度も、魔物との戦闘で怪我が無いのはひとえに運が良かったからだろう。  けれど、感触も、悪臭も、恐怖にも、ンジャヤはいつまで経っても馴れることができないでいた。  ンジャヤよりも戦えるものは、その頃には居なくなっていた。魔物が現れればンジャヤが呼ばれる。  村の大人たちでさえ、ンジャヤを頼るようになっていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!