お兄さんといいことがしたい!

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「勿論、お任せください! ちゃんと用意しときましたから」  僕は枕の下に隠しておいた避妊具を取り出し、兄に見せた。 「よく温まってるので、冷たくなくて快適かと思います」 「バッカ……」  兄はまた、くっくっと肩を震わせた。  避妊具を一旦枕の下に戻して、僕は上半身を起こし、兄の頬と敷き布団の間に手を差し入れた。兄の顔は相変わらず小さくて、僕の掌にすっかり入ってしまうほどだ。  頬をぐっと支えて上向かせる。僕が顔を近付けると、兄は躊躇いがちに目を反らし、そして瞼を閉じた。  最近、兄は色んなことに自信がないのだ。たとえば、近頃はあまり歯医者に行けていないから、歯と歯の間に歯石が溜まって息が臭いと思うとか。たとえば、もうすっかりオジサンだから、きっとΩの匂いよりもオヤジ臭の方がキツく臭ってるはずだとか。そんなどうでもいいことを気にして、僕とのスキンシップに消極的になっている。
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