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目覚ましの曲が私の耳に入り、段々とその音が大きくなってくる。
「ん…。もう、朝…。」
目を開けるといつもと違う景色に違和感を感じ、起き上がると、節々に痛みを感じた。
「あ、そういえば私、床で寝落ちしたんだった…」
誕生日の日早々、寝起きが最悪だ…。
私は重い体を起こし、顔を洗い、服を着替えた。
洗濯物を回し、その間に朝食を作り食べる。
一通り家事を終え、携帯を見ると沢山のメッセージが来ていた。
「わあ~、色んな人に祝われてる…!あ、いつものネッ友ちゃんからも来てる!」
沢山のメッセージを大切に読み、一つ一つ丁寧に返していた時、インターホンが鳴った。
「ん?こんな時間に何だろう?今日、なんかの発売日だっけ?」
でも、発売日は全部手帳に書いてあるけど、今日は特に何もないはず。
「はーい」
「市原財閥からのお届けものでーす」
という事は、身内の誰かからのお届けものか。
「今、開けるので部屋の前まで持って来てくださーい」
そう言うと、配達員さんは明るい声で返事をした。
部屋の前で配達員さんが来るのを待っていると、配達員さんがエレベーターから出てきた。
って、あれ?なんか…
想像していた段ボールの大きさよりも、はるかに大きくない?
そんな事を思っていると、配達員さんが目の前にやって来た。
「お荷物お届けに来ましたー!ここに名前をお願いします」
「あ、はい。」
私は、配達員さんからボールペンを受け取り自分の名前を書いた。
「あの、」
「はい!」
「この荷物の中身って分かりますか?」
「配達内容は、生ものと書いてあるので、食べ物か何かだと思いますよ。あ、」
「どうかしたんですか?」
私が配達員さんに質問すると、配達員さんは顎に手を当てながら、何かを思い出し
「早く開けないと大変な事になるって、送り先の人が言っていたような気がします」
早く開けないと大変な事になる…?
一体、どういう意味だろう。
「あ、次の届け先に行かないとまずいので、そろそろ失礼しますね!お荷物は玄関に置いておきますね!」
そう言うと、配達員さんはそっと荷物を持ち上げ、玄関に置いた。
見るからに重たそうな荷物なのに、それをそんなに軽々と持ち上げるなんて。
配達員さん恐るべし。
「それじゃ失礼します!」
「お疲れ様でした」
私が返事をすると、彼は綺麗に一礼をして去って行った。
玄関のドアを閉めると、私は段ボールをジッと見つめた。
一体、この中には何が入っているのだろう。
生ものっていう事は、お肉とかお魚?
その時、スマホの着信音が鳴った。
「あ、お父さんからだ」
ちょうどいい。この中身が何なのか聞こう。
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