夏が来た

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時計をみると23時   ピっと光ったスマホの通知で 見えたメッセージ 『先輩 おやすみなさい♪』  部活を引退してからこの時間。 つゆりから おやすみなさいメッセージが 届くようになった。 風呂上りのアイスを食ってる時。 電子辞書片手に 現文の課題をかたづけてる時。   そろそろ寝よって思う時。 テンプレ的な文章だ。 このメッセをみるたびに なんて返信しようかと考えるが、 結局は フルフル枕を抱えたキャラクターが 手を振っているおやすみスタンプを 定番で返す。   既読がつくのも早いから 返信確認してるっぽい。 引退した3年全員に このメッセを送ってんのかなあ・・ とか考えた時、 食べかけていたシャーベットの 最後の一口で 頭の奥からきーーんと痛みを感じる。   「いってえ・・・」 こめかみを 指でぎゅーっとする。 おいしく食した後についてくる このいらない痛み。   ほんと、めんどくさ。 めんどくさいけど 俺は気づいてる。 毎日毎日 昨日よりも今日 明日は今日よりも あの子の存在が気になり始めていた。   学校のどこにいるんだろって 今、何してるんだろって つゆりを思い出す時間が増えている。 つまり  カノジョを好きになっている。 「めんどくさ。」 声に出した言葉は どーしたらいいかわからない この気持ちに対する言い訳だ。 既読のついたスタンプを見てから アイスのスティックを ゴミ箱に投げた。     
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