◆まさか物語の世界へ?!◆

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そんな日々を送って早数年。 一度部署異動はあったものの、変わらずここで働き続けていられることに感謝している。ただしお給料は変わらないけど。 「笠原さん、聞いた?松島さんご結婚されるんですって。良いご縁があってね、お相手の方の転勤に着いていかれるそうよ」 「じゃあお仕事辞めちゃうんですか?」 「専業主婦になるみたいよ。旦那さんが稼げる人だといいわよねぇ。ふふふ、次は笠原さんの番かしら?」 「ん?」 「結婚のご予定は?笠原さんもそろそろな年じゃないの?」 「あー、私は本が恋人ですからねぇ。あはは」 「またまたー」 明るく笑ったものの、自分は出会いさえないまますでに二十六歳。ついにアラサーを迎えてしまっている。 別にそのことについて焦ったことはない。 だって私には大好きな本があるから。 本が恋人なの。 好きな本の二次創作、しかも夢小説を書くのが私の趣味でもある。実は夜な夜な妄想に耽り、せっせと小説を書いているのだ。 自分の書いた文章でドキドキ胸キュンして満足感を得る……うん、幸せだ。
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