◆ハッピーエンド◆

13/19
前へ
/93ページ
次へ
「ああ、そういえば。ジャンクがくれた髪飾り、あれは魔道具だったのよね?」 アズールは何かよくない魔法がかかっていると言っていた。この機会にきちんと聞いておかなくちゃ。なんてちょっと構えていたのに、ジャンクはあっさりと暴露した。 「あれは母さんが魔法を込めた髪飾りで、魔除けだよ。シャルロットに幸せが訪れますようにってね。大切にしてもらえると嬉しいな」 「そうだったんだ、ありがとうね」 笑ってみせたものの、ニコニコと微笑むジャンクにとっても心が痛む。 だってあの髪飾り、もらったその日にアズールが握り潰しちゃったんだもの。 意味深な目でアズールをチラリと見ると、バツが悪そうにあからさまに私から目をそらした。 むむ、何か怪しいんですけど。 「シャルロット、僕は今でもシャルロットが好きだよ。妹だとわかった今でもね」 「ジャンクありがとう。私もジャンクのことが大好きよ。これからもよろしくね」 私が右手を差し出すと、ジャンクは両手で優しく私の手を握った。 「あらあら、仲がいいこと」 キッチンではお母様が私たちを見て静かに笑い、アズールは無言で佇んでいた。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

131人が本棚に入れています
本棚に追加