千紘さんのありがた～いお話 おまけ

引っ越しましたっ

　いいなあ。
　門馬会長と仲良しだなんて、うらやましい……。

　美湖はチラチラと愁子を窺っていた。

　門馬会長、もともと格好よかったけど、最近、表情に憂(うれ)いが出てきて、なんだかますます格好いい。

　私も田所さんみたいに、お話とかしてみたいっ、
と思う美湖の目はいろいろと曇(くも)っていた。

「あ」

　すぐ側まで来た愁子が美湖を見て、声を上げる。

「ホームセンターの門番」

　なんですかっ？　ホームセンターの門番ってっ、
と愁子に声をかけられて焦る美湖は、自分が無意識のうちにホームセンターの門の陰に隠れて、龍平を見ていたことに気づいてはいなかった。