先輩の本当の彼女

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「えーと……邪魔したくないから」  とごまかした。  私は、先輩に疑似交際解消を言われたはずなのに、まだみんなになにも言えずにいた。まず、なんて言ったらいいのかわからない。〝別れた〟と言うのも、〝実は嘘だった〟と言うのも、どちらにしても気が引ける。  それに……先輩との関係の糸を完全に切ってしまうようで、なんとなく嫌だった。あきらめようと誓ったはずなのに、往生際の悪い自分にため息が出る。 「あいつは、金曜日からまた来るよ」  そこへ、藍川先生が割って入ってくる。先生とは連絡を取っているようだ。 「そうなんだ」  ぼそりとそう言うと、北見さんが、 「彼女より藍川先生のほうが知ってるじゃん」  と笑いながらツッコんできた。先生の顔を見ると、同じように笑っている。 「あ! そうだ、荘原さん」  北見さんが先にコートに戻ると、先生に呼び止められた。  振り返ると、 「この前私が言ったこと、まんま自分にブーメランだったわ」  と言われる。 「え?」 「後悔はあとからすべき、って話」  先生は、子どもみたいにピースをした。
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