先輩の本当の彼女

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「どこにあったんですか? どうして先輩がハリッチを?」  と尋ねる。 「バス会社に問い合わせて、忘れ物センターに取りに行った」 「えっ!?」 「学校にも家にもないんなら、バスの可能性があるんじゃないかな、と思って」  バスの中で落としてたんだ……私……。  戻ってきたハリッチを見て、そうだったのか、と納得する。そして、そのフェルトの感触を確かめながら、先輩がそこまでして捜してくれたんだという事実に、胸がいっぱいになった。 「……ありがとうございます」 「もう、それがなくても大丈夫そうだけどな」 「あ……」  その言葉で、ハリッチが手元になかった期間を思い出す。たしかに最初はひどく慌てて落ちこんでいたけれど、いつの間にかハリッチがなくても大丈夫になっていた。  きっとそれは、頼れる相手や、どんな私でも受け止めてくれる人間がいるんだということがわかったからだ。そして、こちらも信頼する勇気を持とうと思えるようになったからだろう。  それもこれも、全部九条先輩のおかげだ。 「でも、これからもっと大事にします。先輩が見つけてくれたんだっていう付加価値がついたので」
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