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バス停での十五分間
「ねー、荘原マネ。もしかして政本のこと好き?」
部活の練習開始前の体育館で、同学年である女子バスケ部の北見さんが私の肩に手を置いた。荘原マネ、というのはバスケ部マネージャーをしている私のことだ。
みんなのドリンクボトルを長机に並べていた私は、突然のその質問に目を丸くする。
「え? なんで?」
「なんかさ、真梨香が、そうじゃないかなーって言ってて。あ、ごめん、真梨香が政本のことが好きって内緒ね? だってさ、同クラのマネージャーってだけで、ほら、カップルになる可能性って高いわけじゃん? だからあの子、荘原マネのこと気にしててさ」
そこまで聞くつもりはなかったのに、北見さんは詳しく説明しだした。友人思いな彼女は、同じ女バスの根津真梨香さんのために、勝手に動いているのがわかる。
察した私は、微笑んで首を横に振った。
「全然だよ。だって私、他に好きな人いるし」
「マジ? あー、よかった。ほら、ドラマの〝恋ドリ〟でさ、主人公のマネージャーとバスケ部エースがくっついたじゃん? 真梨香、あの影響モロに受けちゃってて」
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