先輩の本当の彼女

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先輩の本当の彼女

 翌日の月曜日から、私の放課後は変わった。ピンチヒッターとしての練習参加ではなく、ちゃんと一部員として覚悟を新たに練習に励みだした。  マネージャー業務は、男女それぞれで分業することになったのだけれど……、 「荘原さん、テーピング切れたんだけど、どこにあるー?」 「なにこのアイシング、氷少なすぎ」 「うわ、ボトル、カビってるじゃん!」 「日誌、今日誰の番だっけ?」  などと、やっぱり頼られることが多い。そして、それも悪くないと思っている自分がいた。  マネージャーの仕事は本当にやりがいがあったし、私の中のひとつの青春だった。でも、本当にやりたいことを心と体に正直に思う存分やれている今が、一番楽しい。  そのうち受験勉強を本格的に始めなきゃいけないけれど、あともうちょっとだけ頑張りたい。そして、高校卒業後につなげたいと思っている。 「荘原さん、九条先輩は元気? 試験頑張ってるって?」  試合が終わってから一週間経った火曜日、北見さんが私を肘で小突きながら聞いてきた。 「あー……うん、たぶん」 「たぶん? 連絡くらい取ってるんじゃないの?」  私は、苦笑いをしながら、
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