バス停での十五分間

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 さっき名前の出た彼は私と同じ三年生で、男バスのシューティングガードだ。背はそこまで高くはないけれど、動きが俊敏で一番得点力があり、明るくチームを盛り上げてくれるムードメーカーでもある。  この春、初めてクラスも同じになったけれど、同級生からも人望が厚いようだ。気さくで笑顔が多い彼の周りには、いつも男女を問わず人が集まっている。  私は、マネージャーだからといって特別親しくはしておらず、挨拶や短い会話程度しかしない。短髪の黒髪がよく似合い、優しい目をした(さわ)やかな彼は、根津さんからだけではなく、他の女子たちからも人気だからだ。下手に親しくして悪目立ちしたくないし、さっきの北見さんの話みたいに勘違いもされたくない。  そう……私は、注目されることが苦手なのだ。教室でも、部活でも、空気を読んで当たり障りのないポジションをキープしている。だから、陰で支えるマネージャーの仕事も(しょう)に合っているといえるだろう。  必要以上に目立って矢面に立たされるのならば、(かたわ)らに立つモブキャラでいい。真ん中に立つのは選ばれた人たちに任せて、私は、ひっそりと心穏やかに過ごしたいんだ。
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