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先輩の顔は、せつなげだけれど優しく見えた。そのときの彼の気持ちが伝わってくるようだ。
「高校卒業して以来全然会ってなかったのに、千早のやつ、あいかわらずだった。強引だわ、大口開けて笑うわ、中身は男で熱血だわで」
「ハハ、たしかにそうですね」
そういうところが好きなんだ、と心の声が聞こえてきそうだった。九条先輩は、藍川先生の明るさと前向きさに励まされ、引っ張り上げられたのだろう。
先輩は顔を戻し、まっすぐに前を向いていた。正面の一番奥の壁には、バスケットボールのリングゴールが見える。
「今は、先生とかコーチとか、あと、スポーツ医学関係にも、ちょっと興味を持ってて。だから、そういう指導とかサポートする立場の仕事に就ければと思う。千早にそんな話をしたら、いろんな関連本を貸してくれて、なんか俺より張り切ってるんだけど」
「そうなんだ……」
本の貸し借りをしていたのは、それだったのか。
「体のメンテナンスとか、それぞれのスポーツに対する効率的な体の鍛え方とか、あと、本番で十分力を出せるような脳科学的なものとか栄養学、精神面のバックアップなんかも学んでいきたいし、資格も取れるものは取りたい」

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