ヒロインなのに悪役令嬢役にされて困ってます!

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 言うや早く、屈んだレナルドがベアトリーチェの肩と膝を抱き上げ、さっと踵を返す。シーラは去っていく彼らの背を無言で見つめることしかできなかった。 ***  それからも、ベアトリーチェ絡みの珍事件は続いた。お茶会に招かれて行けば、他の招待客の注意を引いた隙にティーカップを傾けて自分のドレスを汚し、その不始末をシーラのせいにされる。  学園内の池に呼び出されたかと思えば、彼女の教科書が水の中に浮いていて、何事かと目を剥いている間に同級生が集まりだして、犯人はシーラだと名指しで言われる始末。本当に意味がわからない。  およよと嘆く彼女は周囲の同情を集める一方、自分は日を追うごとに悪者扱いされていく。 (これは一体、何の茶番なの?)  シーラはしがない男爵令嬢で、父親は王宮の騎士をしている。  対するベアトリーチェはハールストンの中領地を管理する伯爵令嬢だ。腰まで伸びたウェーブがかった緑の髪に、レモン色の瞳。少々目元はきついが、目を引く美人だ。婚約者の王子は文武両道の貴公子で、日に日に溺愛度は増している。
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