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そんな日々を送っていたある日、予想外のことが起きたんだ。
妻が三指をつき過ぎて両手の指を三本づつ疲労骨折してしまった。
もう正統派の三指はつけなくなった。
・・・と思いきや残りの二本づつで二指が出来るように鍛え始めたんだ。
「ウソだろう!?」
指用のちっちゃい鉄アレーなんてどこで手に入れたんだよ?
それで一心不乱に鍛えているのを目撃してしまった。
もう怖すぎる!
「俺はもう"おかえりなさい"だけで十分なんだから、もう指なんかついて頭を下げなくていいから」って言ったんだよ。
ほかに何か意味があるのか?
考えても俺にはわからない。
すると、妻はこう言い放ったんだ。
「私の趣味でございます」
「え〜俺に対するリスペクトじゃなかったのかよ?!」
自分でもビックリするくらい大きな声で言ってしまった。
「20年やっておりますと、もうスポ根同様引退するまで何があってもやると決めているのです」
"引退するまで?"とはどういうことか?と俺なりに思い巡らせてみたんだがわからない。
「引退するまでってどういうことなんだ?」
妻は不敵な笑みを浮かべているだけで何も言わない。
「ヒントぐらいくれよ」
尚も、さーねーという顔をしている。
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