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「ーーフム」
第一王子は不思議そうに顎に手を当てて首を傾げた。
「ーーこれはまいったな」
言葉とは裏腹に、まったく困ったように見えないその端正な顔立ちに、少しイラッときた。
「ーーまさか本当に裏付けもなく糾弾したのですか?」
だとしたらコイツは無能なのでは?
「恥ずかしながらそのとおりだ」
第一王子は事もなげに返す。
「私は自分の婚約者を侮ってはいない。証拠探しに動けば必ず嗅ぎ付けて隠滅を図るし、最悪逃亡される」
ああ、なるほど。
確かに【自分】なら確実に嗅ぎ付けるし、証拠を隠すためになんでもやって、逃げようとするだろう。
「故に不自然でないタイミングで衆目の前で罪を白日の元に晒すつもりだったが……どうやら裏目に出たようだな」
実際王子の計画は上手く行っていたし、その判断は正しかっただろう。
ーー【俺】という不確定要素がなければ、と但し書きが付くが。
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