フレデリックのせいじゃない

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 ある日、亜由美が死んだ。 ご安心あれ不審死じゃない。 私を含め、部活のみんなは青春時代をとうに経て、それなりに年を取っていた。 だから驚く程のことではなかったのだ。 あの瞬間が来るまでは。 葬儀屋さんから式にふさわしい曲を尋ねられ、私達はとても困った。 あんたの好きな曲、誰も知らなかったんだよね。 「確か、モーツァルトだけは嫌だって言っていたわよね」   「あなたほんとに知らないの? いつも一緒にいたじゃない」 みんなが私のことを見る。 「いや、いたって言ったって楽器(パート)が同じだっただけだし。 あ、そう言えばあの子、ショパンが得意だったかな。わかった。そっち方面で選んどくよ」 私はそう言って葬儀屋さんを振り返った。
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