幕間

1/3
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

幕間

穏やかな日差しを感じて目を開いた。キラキラ輝く金色。眩しくてまた目を閉じようとしたら、柔らかな塊が瞼に落ちた。 「モカ」 たった二文字なのに、あたたかさが含んだ音。優しい眼差しに、このまま溶けてしまいそう。 「起きて」 促す言葉に、渋々目を開いたら、銀髪の男性が微笑んでいた。 「ええっ?」 慌てて飛び起きた反動で、ギュッと抱きしめる逞しい腕と厚い胸板。 ……わたし、どうしたんだっけ? 「ああッ!」 「落ち着けよ」 ポスンと頭を撫でられた。広い手のひらがずっしりと重たくてあたたかい。 「シヴァ?本当に?」 「ああ。モカにはわからない?」 うわぁ。とびっきりの笑顔を惜しげなく魅せた。 「わかる」 ズキューン。いや、バッキュンッ!!ああもうこれは惚れるしかない。 だって一週間ふたりでキャンプしたんだから。声色も匂いも、このぬくもりも、あのかわいい灰色の梟と同じだもん。 「最終の選択で名を叫んでくれた瞬間を一生忘れない。今日から俺の伴侶として添い遂げてくれるんだろう?」 え、何?この距離感。ち、近いんですケド? 「はっ、はは伴侶?」 スッと目を細めて、雄の表情を向けた。 「そう。契りを交わしたら全部話す。今は俺色に染まってくれ」 「お、おお俺色とは?」 言いながらも、ピタッと密着する肌にドギマギしてる。そんな態度も筒抜けなのだろう。金色の瞳がキラリ輝いた。 「意外と鈍いよな?こういう意味」 !!!! 心臓バクバクしたまま、シヴァがぼやけた。じんわり広がったのは、熱くて気持ちいい感覚。 唇を塞いだまま髪を撫でられたらもうダメ。色気と雄味が混在したヒトのシヴァに、抗うことも逃れることも出来なかった。 一緒に過ごした一週間で、灰色の梟に好意を寄せていたのも事実。 約束を果たしたいと思い、もう一度シヴァに会いたい願ったシンプルな理由で、この世界Aliveで生きる選択をしたのはわたし。 そして、心の奥底で惚れちゃったことに気付いていたのもわたし。 ……このまま、シヴァとの愛に溺れていいですか? 伴侶としての契約だからといって丸2日間、組んず解れつ、ベットから出して貰えなかった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!