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いつもの朝。それは抱き寄せられた状態で目覚める。髪や瞼や頰に、ついばむようなキスを繰り返していくシヴァに凭れるように寄り添い応えてる。
銀色の睫毛やキラキラ光る金色の瞳に吸い込まれそう。無意識に目を伏せたり顔をそむけた瞬間、じんわり唇を塞がれる穏やかで濃密な一日が始まる。
「おはよモカ」
弾力あるキングサイズのベット。ふわふわシーツに包まり、笑顔で起こしてくれる。
「シヴァおはよ。……んんっ」
唇の端から漏れた吐息にも、色香溢れるシヴァの所作ひとつひとつにも、未だ照れてしまうことも多い。
「んぁッ、起きなきゃ」
「あと少しだけ」
あれから夢のような優しい朝が続いてる。逞しい腕に抱えられたまま気を失ってしまったあの日から、ずっと続いている。
目覚めた瞬間から、側にある強く熱い眼差しがモカを捉えて離さない。
「そろそろ準備しようか?」
身長が高いシヴァが、わたしを抱えたままバスルームへと向かう。
「ちょっ、ひとりで入……ぅうッんん」
やはり慣れない。背筋に指先を這わせながら、濃厚なキスをされるだなんて、もう溺れるしかない。
「こら、声を我慢しない。聞きたいんだって」
年齢=彼氏いない歴のわたしにとって、ホントご勘弁!みたいな感じで。未知な世界に一歩踏み入れた感じで。未だに慣れない。
……確かに夜行バスで異世界に来てたから、表現は正しいかもしれない。
ひとりの男性とまともに付き合ったことがなかった恋愛初心者には、ふれあうだけでキャパオーバー。受け止めて応えて、受け止めて返してを繰り返すことで精一杯だ。
あの運命の日。最終選択が奴隷か伴侶の二者択一とは知らず、二度と元の場所に戻れないこと事実にも気付けず。
でも言い訳も後悔もしない。
選択をしたのはわたしで、何度同じ状況をやり直せたとしても、選択は変わらないから。
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