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ジーパンのポケットの膨らみに、刑事は桑畑を見る。
「ポケットの中を確認させてもらいますよ?良いですね」
桑畑はコクンと頷く。
刑事がポケットに手を入れると爪切りが入っていて、それを取り出すと刑事は健を見た。
「やっぱり持っていましたか。確かに、あの状況で証拠隠滅は出来ませんからね。自分で持っているのが、1番安全だと思ったんですね」
健の言葉に桑畑はただ無言だった。
「その爪切りのカバーか、ポケットの中に爪が残っていたら、それはおそらく石塚さんの物だと思います」
健が確信を得て刑事に言うと、刑事は証拠品として、爪切りと、ポケット中に落ちていた爪、ジーパンも全て袋の中に入れた。
桑畑はもう終わったと目を瞑る。
「……どうして俺が石塚の爪を切ったと思った?」
桑畑が健を見る。
「あまりにも、石塚さんが綺麗に深爪に切られていたので気になったんですよ。どう見ても切ったばかりだった」
切って数日の爪にしては切り口も鋭かった。
今朝切ったのかと思っていたが、桑畑の腕を引っ掻いたのなら、桑畑が慌てて石塚の爪を切っても不思議はない。
「石塚さんは深爪にしなければならない、何か余程の理由があるのではと考えた。齧ったと言う言葉に翻弄されたが、齧ったが引っ掻いたと言う意味だと分かり俺はあんたが犯人だと確信した」
健にずっと疑われていたのかと、やっと桑畑も気がついた。
「引っ掻かれたあんたは自分の皮膚片を、石塚さんの爪に残すわけにはいかなかったのでは、と考えたら深爪の謎も解けた。俺の考えは違いますか?」
健の推理に、桑畑は何も言い返せない。
そのものズバリの正解だったからだ。
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