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中の様子を窺うと、石塚は意識が無いようで全く動かない。もしかして死んでいるのかと健は緊張する。 呻いている男、桑畑に健は近付く。 凶器と見られる血の付いたゴルフクラブが桑畑の近くに転がっていた。 「何があったんだ!誰にやられた?あんたは石塚さん?桑畑さん?」 健は大きな声で呼びかけるが、桑畑も何とか意識を保っているだけのように見えた。 「桑、畑だ。家に、入ったら……男がいて。突然、石塚に……殴り掛かって。俺は、そいつを捕まえようとしたが……揉み合っているうちに、俺も、殴られ……て」 健が桑畑の側にいるので、深海が石塚のそばに寄った。 「大丈夫か!おいッ!」 深海が石塚に声を掛ける。 生きていてくれと、深海は心の中で祈った。 「……」 石塚が何かをポツリと呟いたので、深海は生きているとホッとした。 「健君!こっちも意識があるぞ!早く、救急車を!」 石塚に意識があると分かり、桑畑が目を見開く。 健は桑畑の表情を見逃さなかったが、とにかく今は救急車が先だとスマホで救急車を呼んだ。 「誰がこんな事をしたんだ?」 深海が石塚に尋ねる。 「……った。腕を」 息も絶え絶えの中、石塚は震える手を深海に差し出して訴える。 「腕を何したって?」 はっきり聞こえなかったので深海は聞き返す。 「……かじっ……た」 石塚はそう言って口を閉じ、再び気を失ったのかグッタリと動かなくなった。 健は桑畑を介抱していたが、心の中では桑畑に疑惑の目を向け、気を失ってしまった石塚に近付いた。 「深海さん、すみませんが救急車の誘導をお願いします」 深海は頷くと慌てて外に出た。こんな事件現場に出会して、正直外に出られてホッとした。 健は石塚の様子を注意深く見る。何か犯人の手がかりがあるのではないかと思った。 しかし、見る限り石塚に不審な点はない。 殴られた時の頭部の裂傷。見える範囲で、肌に怪我は特にない。 手に血は付いているが、おそらく攻撃から頭を守る時に、石塚自身の血がついたのだろうと思った。 つい爪に目がいく。綺麗な深爪になっていた。 身なりは特に清潔感が有る様に見えなかったが、爪に関しては意外と神経質なんだと思った。
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