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「あ、いえ。深海さんから聞いたのですが、石塚さんが、犯人らしき相手の腕を齧った様だったので、それが本当なら噛み跡が犯人に残っているはずだと」 刑事は、うーんと考え込む。 警察でも、重要参考人として桑畑の事も疑ってはいる。 「そうなんですね!深海さんの証言は他が聞いているので照らし合わせてみます!」 「あの、犯人は素手だったんですか?家の中や凶器のゴルフクラブに犯人の指紋は?」 健達も指紋の採取をされたが、勿論ゴルフクラブから2人の指紋は出ていない。 ただ、桑畑の証言が通れば、犯人は逃走中なのだ。 「いえ、手袋をはめてはいた様です。ただまだ捜査中なので、詳しいことをこちらからお話しすることはできないのですが」 刑事の返答に、健は内心チッと舌打ちした。 しかし、目撃者に下手に先入観を与えてはいけないので、それは仕方ないかと諦めた。 だが、犯人が手袋をはめていたなら、石塚の衣服からも指紋が出てくる可能性が低い。 「分かりました。深海さんはどちらに?」 深海もパトカーの中で事情聴取を受けていると思い健は辺りを見渡す。 刑事が他の警官に、深海が何処にいるのか尋ねた。 「深海さんも、もう事情聴取は終わっていると思いますので、少々お待ちください」 健も解放されてヤレヤレと思いながら、警官の返答通りに深海を待つためパトカーから降りた。
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