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刑事から解放された深海が健を待っていた。 「お疲れさん」 深海が健に声を掛ける。 「深海さんもお疲れ様でした。まさかこんな事に巻き込まれるとは。大丈夫ですか?」 当たり前の反応だが、深海は憔悴していた。 深海がそばに付いていた時は、まだ石塚には息があった。 だが結局亡くなり殺人事件となってしまい、その現場に居合わせた深海は相当なショックだっただろうと健は気になった。 「ああ。まさか亡くなるとは思っていなかった。彼の最後の言葉を私は聞いたんだよね」 最後の言葉。 聞き間違えでなければ、石塚は最後、犯人の腕に噛み付いたことになる。 しかし、怪しいと思っている桑畑に噛まれた痕はないと警察は言った。 だが、どう言う状態だったのか分からないが、石塚は犯人の腕を齧ったのだ。 「犯人はどうやって逃走したんでしょうかね。私達があの場に到着した時には、もう逃走した後だったと言うことですからね。犯行時刻も私達が来る少し前だった様ですし」 健はどうしても桑畑が怪しいと睨んでいる。 あの家は元々は桑畑の実家だったが売りに出されていて、今回深海が購入を希望したのだった。 あの状況で、第三者がなぜあの家に忍び込んでいたのか。 家の中を見たが、金目になるものも特にある様には思えなかった。 もう事件は警察の捜査になるので、健が真相を知るのは、事件解決後にローカルニュースでも見ない限り知ることはできないかもと思った。 「とりあえず私達は、無罪放免ということで警察からは解放されたので東京へ戻りますか?」 いつまでもここにいても仕方ないと、健はタクシーを呼ぶためにスマホをスーツのポケットから出す。 「そうだね」 深海もショックで多くは語らない。 2人はまだ捜査をしている警察を、遠くから眺めながらタクシーが到着するのを待った。
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