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「はあ…聞いた事はあります」 「年に2回ほどかな…そこの組長夫妻たちがごっそり買い物するんだ、各階で閉店後」 「そうですか…」 「それが今日なんだ。館の人が付いてるから店舗の者は指名がなければ帰るけどな」  従業員通路へ向かい並んで歩きながら小声で言う店長は 「あっ、忘れ物。じゃあお疲れ様」  と言い私が挨拶する間もなく店に走って戻った。まあもう関係ないしいいか…すぐにイヤホンを付け足を進めた。 ♪~愛と希望より前に響く 聞こ◯るか?遠い空に映る君にも   平気な顔でかなり無理してたこと叫びたいのに懸命に微笑◯だこと~♪  耳に優しい大好きなマサムネの声しか聞こえていない私に向かって、誰かが声を掛けた事には全く気づかず百貨店勤務を終えた。  そのままキャバクラへ直行する。もう営業開始してるが、途中からでもラストまでヘルプに来て欲しい、と今日休憩時間に確認したスマホにママから連絡が入っていた。本当は派遣の切れる明日から数日キャバクラ勤務の予定だったのが1日早くなったわけだ。  店でドレスに着替え、メイクとヘアメイクをしてもらうと 「マコちゃん、行ける?」  黒服から声が掛かった。駒村の‘駒’を反対にして‘マコ’単純な付け方だが名前にこだわりは全くないので構わない。駒村でさえ、拾われ適当に付けられた名前なのだから。
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