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「メシ」 「…行けばいいけど、私は帰る。降ろして」 「何食いたい?」 「日本語通じないの?降ろして」 「好きなもの食わしてやる。肉か?寿司がいいか?」 「…マサムネ…ああ、あなたじゃなく、歌手マサムネに釣られて来たけど食べ物には釣られないわ。降ろして」 「あなたじゃない、正宗だ」  あー誰か何とかして下さい…話が通じない。クスクス…前の二人が笑いながらこそこそ話している。 「早口じゃないのにやけにテンポのいい会話だな」 「ああ、しかも無駄にセクシーな正宗の声に負けないくらい綸ちゃんの声もセクシーだな…ほんの少しハスキーボイス」 「そりゃ、啼かせたくなるな…男は」  双子とおぼしき男たちは何を話してるんだか… 「くだらない…」  夕方帰宅ラッシュの交差点で車がスピードを落とした…その時、ドアを開けて半分転げ落ちながら走り出した。 「綸っ…」  呼ばれても足が痛くてもとにかく人の多い方へ走り、何駅かもわからない地下への入口へ駆け込み、改札でカードを翳すと後ろを振り向いた…しんど…もう大丈夫そうだ。
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