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「お疲れ様でした」  この会社の定時は5時30分だが、派遣社員の私、駒村綸の契約時間は5時まで。しかも今日がここでの勤務は最終日だ。まだ忙しそうな社員一同にいつも通りの挨拶で記憶にも残らない派遣社員は消えるとしよう。3ヶ月ごとのルーティーンだ。 「綸」  会社を出たところで呼び止められる。 「本当に…もう会えないのか?」 「ええ、3ヶ月前に言った通り。もう連絡しないでよ。じゃあ」  これもルーティーンのうちだ。3ヶ月で派遣先を変え、その都度男も変わる。変わると言っても元々付き合ってはいない…誰とも付き合いなんてしない。ただ互いの都合よく抱き合って終わり…それで十分だ。  いつものように大好きなマサムネの歌声を聞きながら帰ろう ♪~ギリギリをくぐり抜けて一緒にいてほしい ありがちで◯別な夜~♪  耳から聞こえる彼の声に1日の疲れを癒され浄化される。  次の派遣先の仕事始めは1週間後。その間キャバクラでバイトするのもいつもの事。時には派遣先に行っていながら頼まれれば夜はキャバ嬢ってこともある。ママには私の都合良くバイトさせてもらっているし、他の嬢やスタッフさんも好い人ばかりだから人員が足りない時には少し無理してでもヘルプで入る。  こうして私は派遣社員として3ヶ月で職場と男を変えつつ、キャバクラでのアルバイトとで生活費を稼ぎなんとか生きている…もう何年も。
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