ツユクサの恋

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ツユクサの恋

もしもわたしが花ならば あなたは愛してくれますか 桜のように華やかで 美しくもないけれど 青いわたしの花びらに 水を与えてくれますか 飾られなくてもいいのです 道行くあなたの瞳(め)の中に 色を添えたらそれだけで わたしは喜び舞うのです もしもわたしが花ならば 大事に育ててくれますか 一番きれいなその時に あなたのそばにいられたら わたしは喜び泣くのです もしもわたしが花ならば あなたを愛していいですか 風に揺られるふりをして 微笑みかけてもいいかしら 幼いわたしは愚かにも 夢を描いてしまうのです もしもあなたに抱かれたら 胸に潜めたこの愛が 露に濡らされきらめいて きっとわたしは枯れてしまう
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