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城崎にて
「わたしたちは、互いの息を奪い合って死ぬのだ」
あなたと出会った時から、そんなことを漠然と考えておりました。これは願望ではなく、確定した未来なのだと、なぜだかわたしは盲目的に信じておりました。
死ぬのはいつがいいかしら。舞い散る桜に紛れるのもよいし、夏の暑さに沈むのもよい。中秋の名月を眺めるのも素敵だし、雪に埋もれて命を枯らすことにもあこがれます。
死ぬのは、どこがいいかしら。何度も通ったあなたの部屋。ふたりで孤独を分け合って、溺死するにはちょうどいい。世界が終わるより早く、ふたりの愛に終焉を。
(未完)
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