22人が本棚に入れています
本棚に追加
乱文
わたしこうしないとだめなんです。生きていけないんです。梨花一枝春雨を帯ぶ。あなたにもらった口紅は、もうすっかりすり減ってしまったわ。ごちゃごちゃで関連性のない駄文でも、なんとか書きなぐっておかないと、停滞感に苛まれて、死ぬよりも苦しくなるんです。
朝。17日。洗濯をする。
昼。18日。書き古したノートが破れかけている。
夜。19日。烏が死ぬ夢を見る。
ダーリン、ほんの少しだけ痛みをください。あなたの薬指を噛みちぎる、わたしに罰を与えてください。飴玉を砕くように、優しくわたしを壊してください。透明な空にかかる虹のように、曇りガラスを裂く雨粒のように、わたしの視界をほんの少しだけ変えてください。真心なんていらないわ。涙はもう流せないし、口紅だってもうないの。
朝。20日。本を読む。
昼。21日。木綿豆腐、ねぎ、ジャガイモ、人参、豚肉、もやし、鯖の缶詰。
夜。22日。アルバムをめくる。
死に至る病。枯渇中毒。引っ掻いた愛の証。東京には空がないと言う。本当の空を見たいと言う。暗がりに潜む毒牙を手に入れたい。甘いもの、お菓子、麵麭と珈琲。文字の羅列。
どうか精査する時間をください。世間に認められたいわけじゃない。そうやっていつも恨み節。認めさせたいのは他人ではなく自分自身で、無視されるのが1番嫌い。深く狭くを好むのに深く広くを求めている。何を書けばいい、どうやって書けばいい、どこに見せたらいい、誰に送ればいい。
こんなわたしでも愛してくれますか。
こんなわたしでも認めてくれますか。
朝。23日。文字を書く。
昼。24日。妄想。
夜。25日。筆を置く。
声なき声は無意味でしょうか?
最初のコメントを投稿しよう!