刺草

1/1

21人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ

刺草

上っ面だけの言葉なんてなければいいのにな、社交辞令なんて行儀のいい文化滅びてしまえばいいのにな、今日も生まれた期待の種が、芽も出せずに枯れていって、ありもしない愛情なんて求めちゃって、中身のない声援なんかに飽き飽きしちゃって、薄っぺらい絵文字に侵食されて、それでもいつか反応してくれることを夢見て、銅像なんかに語りかけちゃう、自分が嫌になるのでしょう。どうでもいいなんて言いながら、どうでもよくないこと知っています。1日生きたということは、また一歩死に近づいたということで、そうやって考えたらやっぱりおそろしい気持ちが勝っちゃうな、下と比較して慰められたいわけでもないし、上を見て絶望するのも無意味です、しょうもない弱音を(笑)マークでごまかして、でも、それでも捨てられないこと知ってます。情で繋ぎ止めたいわけでもないし、そんなお情けいらないし、それでもそこに縋ってしまう、現状が嫌になるんだろうな。大事にしていたつもりでも気づいたらなくしてしまって、いつか見つかるだろうなんて放っておいたらそのままで、片方だけのピアス、そんなにわたしのところから逃げたかったの。わたしの愛から逃げたかったの。何気ないLINEも返事がこないな、さみしいなって泣きわめく、そんな女は嫌いでしょう。わきまえています、そんなこと。賢さなんてなければいいのにな。フィルターを何重にも通さなきゃ、何一つ本音なんて言えないんだ、ひとりぼっちはさみしいな、ご飯の準備はしんどいな、どれだけ気をつけていても床には物が散らばるし、敷き布団はよれちゃうし、洗濯物はたまっちゃうし、でも乾燥機を買うお金はないし、ひとりまたひとりと家族は減るし、まわりはどんどん増えていくのになんて考えて、でももうちょっと自由でいたいな、とか日和ってて、そんな感じの毎日です。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加