よ 召

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 我に返ると、そこは見慣れた図書室ではなかった。開けたオープンフィールド。屋外だ。  目の前には麻衣とは似ても似つかない、醜いオークの群れ。数は、1、2、3……、6匹。  振り返ると俺の後ろには4人の美少女が、完全な臨戦態勢で武器を構えていた。  詳しく書くと、  美少女①:レイピアを構えたビキニアーマーのエルフ魔法剣士|(推定Dカップ)  美少女②:両手に爪付きの手甲を装備した、何故か体操服の獣人武闘家|(確定巨乳)  美少女③:小柄な身体に巨大な銃を抱えたゴスロリ娘|(貧乳)  美少女④:俺に熱い視線を向けている、ゆるふわローブの魔術師|(巨乳希望) といった感じだ。  しかし、前にはオーク、後ろに美少女、一体どんな状況なんだ?  そんな事を考えている暇もなく、俺の身体が勝手に動き始めた。  な、なんだなんだなんだ?  俺の周囲にオーラが立ちのぼり、オークたちの頭の上にターゲットマークが現れた。  俺の頭の上には、というと……。  【たなか よしお】と書かれたテキストボックスが浮かんでいる。な、何故俺の名前が?  テキストボックスの文字が【万・烈・拳!】に変わった。  俺の身体は勝手に動いて6匹のオークに1666発ずつパンチを食らわし、最後に地面を思いっきり3発殴りつけた。地面を三筋の衝撃波が走り、6匹のオークを直撃する。俺は手をぽんぽんとはたきながら美少女達を振り向いた。  俺を熱く見つめていた美少女④がちょっと呆れた顔で上を指差した。  そこには【9999】の表示。俺がパンチを放った回数カウンターだ。  俺が「数え間違っちゃった。テヘペロ」という顔で自分の頭をこつんと叩くと、カウンターが【10000】になり、背後のオーク達が爆発四散した。  そうか、これは異世界転生というやつか。麻衣とキスできなかったのはかなり悔しいけど、この四人の美少女達と……と思う暇もなく、俺の身体は上空に吸い上げられていった。
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