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 日曜日の午前中に健治の運転する車に乗り、警察署に行って援助申出書を提出しに行った。  警察署で相談なんて初めで、少し緊張したけれど受付の人も担当の人もとても親切で、スムーズに申請書を提出する事が出来、念のために防犯ブザーも渡された。  帰り道、スーパーに寄って、カートを押しながら2人で買い物をしていると、なんだかこのまま穏やかな暮らしが続いて行く様な錯覚を起こしてしまう。  警察に援助申出書を出したって、住民基本台帳の閲覧権限と110番緊急登録システムの登録、防犯ブザーでは、防御にもならない。    買い物の最中に、もう直ぐ無くなりそうな調味料や冷凍食品のストックを増やす事をためらってしまう。引っ越しも近いのにあまり買い込んでしまうのもどうかと思った。  結局、今夜食べる分の生鮮食品とストックの冷凍食品を少しだけ選んで、カートに入れた。    レジに行くと家計費の共同財布からお金を払って、会計を済ますと健治がお肉をビニール袋に入れてくれて、それをショッピングバッグに仕舞う。  併設されている。パン屋さんのイートインでお昼にして、2人でパンを選んだ。 「甘いパンは、ゴハンじゃない」と健治に言われ「美味しいからいいの」と言い返す。  こんな、何でもない時間がたくさんあったら良かったのに、と思った。  家に帰ったら、離婚に向けての話合いが待っている。
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