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 Side健治 「そこまでしなくていい、健治の事、信じているよ」  裏切った俺の事を ”信じているよ” と言ってくれる美緒の言葉にどれだけ救われたか、きっと、美緒は気が付いていない。  手を尽くしても解決に至らなかった事も、美緒の信頼を取り戻せたと思えば無駄ではなかったと報われた気持ちになった。  用紙を自分の手元に引き寄せ『離婚協議書』の慰謝料の空白部分に『金参百萬也』と記入し、下の欄に署名を入れ捺印をした。  美緒の前に戻すと今にも泣きそうになりながらも、唇を噛みしめ涙を堪えている様子が痛々しくて、思わず抱きしめたい衝動に駆られるが、手を膝の上に置きグッと堪えた。    美緒がサインを終えると印鑑を取り出し捺印をする。  それを確認して、コンビニのマルチコピー機でプリントアウトした、A3の用紙『離婚届』をクリアファイルから取り出した。 「協議離婚の場合だと保証人が2人必要なんだけど、どうする? 離婚届けの保証人は形式だけだから責任は何も無いんだ。俺の方で2人頼んでもいいし、美緒の方でもいい」 「健治にお願いしてもいい?」 「わかった。保証人の欄を先に記入してもらってからにしよう。書き損じもあるといけないからな」  俺の言葉を聞いて、美緒が深く息を吐いた。    
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