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今まで心配してくれた2人には、ちゃんと報告したかったのに、焦って上手く言葉が出なかった。
「美緒先輩は、少しゆっくりしてからこれからの事を考えればいいんですよ。気持ちに余裕が無いと視野が狭くなりますから、一度立ち止まって、ゆっくり周りを見回して、それから自分の行きたい方向を決めても良いと思います。見えない状態で突っ走って、その先が崖だったら落ちちゃいますよ」
里美の言葉が、『これで良いんだよ』と言ってくれている様で、こわばっていた気持ちが解ける。
「ん、ありがとう。ゆっくり考える」
「何か手伝える事があったら手伝うよ」
「ありがとう。でも、ひとりで出来る所まで頑張ってみるね」
三崎君の言葉は心強くもあったが、これ以上頼り過ぎてはいけない。失敗してもいいから自分で何でもやってみて、強くならないとダメだと思う。今回の結末は、自分がもっと強ければ結果が変わっていたはず、今更だけど、自立して人に寄りかからず、支えて貰うだけでは無く、支え合えるぐらいにはならないといけない。
「美緒先輩」
名前を呼ばれて、里美を見ると好奇心旺盛な瞳を私に向けていた。
「離婚しても100日すれば再婚が出来るんですから、世捨て人みたいに暮らさないでくださいね」
再婚なんて、今、離婚をしようとしている状態なのにそんな事を考えられない。思いもよらぬオススメに焦って言葉を返した。
「ムリムリ! 暫くは、自立に向けて修行を積むんだから」
私の言葉を聞いて2人して、プッと吹き出した。
「修行ってどんな?」
三崎君が、肩を震わせてそんな事を聞いてくる。
里美も悪戯な瞳を私に向けている。
2人して言葉の揚げ足を取って、いじわるだ。
「滝に打たれてきますっ!」
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