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Side美緒 「お疲れ様です」と店舗のシャッターをガラガラと閉めて、鍵を掛けた。 「美緒先輩、家に帰るんですか?」  今日、離婚届けを出した話をしたから、里美は、私の事を心配しくれているのが伝わった。 「ん、そうだよ。まだ、次の家を決めていないからね。大丈夫だよ。里美」 「だって……」 「色々あったけど、憎しみ合って別れるわけじゃないし、私が疲れたてしまったから離れるだけだし、次の家が決まるまでは居候をさせてもらうの。週末は物件見に行って、良ければその場で契約して、少しづつ物を移動させようかな? なんて、思っているんだ」  昨日、あんなに泣いたのに、今日の私の心の中は不思議な程、穏やかだ。  あきらめとも違う、なんだろう、まだ、実感が無いのかも……。  この先、ひとりで暮らし始めて、朝起きた時の「おはよう」とか、夜の「お帰りなさい」「おやすみなさい」が言えない事や、少ない洗濯物とかを体感して、”ああ、ひとりなんだな” って、何度も感じて、その度に行き場を失くした寂しさに襲われて実感していくのだろうか? 「先輩、週末からお休みに入るんですよね。日曜日引っ越しのお手伝いをしましょうか?」 「ありがとう。でも、まだ、何にもしていないし、気持ちだけ貰ておくね。手伝いが必要な時にお願いするね」  それでも、ひとりで歩き出さないといけない。    
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