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 今ここで、健治に縋りついても私が強くならないと、また同じ問題を繰り返すだけだと分かっている。  だけど、離れると思うと寂しくて、健治の温もりを感じていたい。  腕の中に抱きしめられて、心臓がキュッと痛んだ。  寂しさが、薄れると思っていたのにこの温もりを失うのかと思うと余計に寂しさが募る。  健治の温もりをもっと感じたくて、これが最後だからと自分自身に言い訳して、自分から唇を寄せてキスをした。  唇を食むようにしながら何度も重ねる。少し開いた唇の間に舌を差し込み、健治の舌を追い求める。  あさましいと思いながらも健治を求める気持ちが強くて、たくさんの深いキスをした。    健治の手が、私の後頭部を抑えてキスを返してくれる。  甘やかな温かい気持ちが流れこむようで、寂しさが薄まり始めた。  唇が離れると寂しくて、「健治が欲しい」と口にした。  一瞬、健治の瞳が驚いたように見開かれ、その後、優しく弧を描く。  刹那的でもいい。  誰に何を言われたとしても、今の私には健治が必要だった。  もう一度、深いキスをして、健治の声が耳朶(じだ)を震わせる。 「美緒……愛してる……」  健治の愛の言葉に胸が痛む。  甘い吐息も、流れる汗も忘れない。  この想いは、私のこれからの道標になるはず。 「健治……私も愛してる」          
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