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美緒が唇を寄せて、やがて重なった。
柔らかい唇の感触、甘い息遣い。
何度も唇を甘噛みされて、舌が俺の口の中を動き回り、キスが段々と深くなる。
そんな事をされたら、もっと欲しくなる。
美緒を求める気持ちが膨れ上がり、美緒の後頭部を抑えてキスを返した。
舌を絡めて、歯列を辿る。
甘い息遣いが濃くなり、唇を離すと切ない表情をした美緒が口にした言葉。
「健治が欲しい」
信じられない思いで、一瞬驚いた。
まさか、美緒がそんな事を言うなんて……。
自分を求めてくれた事が嬉しくて、もう一度深いキスを落とした。
今だけで、いい。俺の事を必要としてくるならそれだけで幸せだ。
俺の気持ちの弱さから美緒を裏切った。
その弱さとも向き合って、それを俺の一部にして、強くなると誓うよ。
だから、いつか2人の道が重なる事があるなら、その時は、もう手を離したりはしない。
唇を耳元に移動させ耳朶を食む。そして、想いを込めて言葉を紡ぐ。
「美緒……愛してる……」
そして、首筋に舌を這わせ、胸元に所有痕を付けた。
こんなのは、すぐに消えてしまうのは知っている。
でも、今だけは、俺の美緒でいて欲しいと思った。
白い胸の温かさも、先端を口に含んだ時の甘い声も忘れない。
美緒の身体を開いて、ゆっくりと最奥まで辿り着いた。
潤んだ瞳が俺を見つめる。そして、美緒が言った。
「健治……私も愛してる」
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