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 金曜日のお昼休みにCafé des Arcs (カフェ デ ザーク)の弓型のアーチをくぐり店内に入るとMISAKIくんが出迎えてくれた。  白いシャツに黒いエプロンのギャルソンスタイルは、似合っていてTVドラマにでている若手俳優のようにカッコイイ。そんな彼が、柔らかい笑顔を浮かべるから、このお店はOLや主婦でいつも賑わっている。 「いらっしゃいませ、もう来ていますよ」 「いつ見てもイケメンだね眼福!眼福!」  里美がおどけて言うと、MISAKIくんも慣れたものでウインクで返す。 「ありがとう、勝手に座っちゃうね」  ケラケラ笑う里美とMISAKIくんのやり取りが面白くてクスリと笑った。  窓際の丸いテーブル席にいる三崎君の所に行き「お疲れ様です。お邪魔します」と声を掛けて里美と私は同席させてもらった。  三崎君のダークブラウンの瞳が優しく弧を描き柔らかい声が聞こえる。 「こんにちは、お疲れ様です」 「一昨日はご馳走さまでした。すごくおいしかったです」  水曜日に食欲が無くて、里美が買い物に行ってくれて時に三崎君から豪華なランチボックスやジュースやお菓子を頂いてしまったお礼を言った。 「食事を抜くとまた、具合が悪くなるよ。食欲が無くても何か口にした方がいい。倒れてからじゃ遅いんだよ」  真剣な眼差しで言われてしまい。また、心配を掛けてしまい。不摂生な食事をしている自分が情けないやら申し訳ないやらで、ペコリと頭を下げて謝った。 「はい、すみません。気を付けます」 「ホント、美緒先輩ダメですよ」  里美にまで言われてしまった。でも、言われてもしょうがないです。はい。 「里美も心配掛けてごめんなさい」  私は、年上で仕事の先輩だというのに、里美の方が何倍もしっかりしている。  
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