ロジック･モノクローム 〜それは秘密の二人〜 【完結】

22

　すっかり、オススメ物件を気に入ってしまった私は、直ぐに契約する事にした。
　普通列車しか止まらないローカルな駅から徒歩７分、日当たりの良い３階角部屋、１LDKが新居になる。
　新しい家具を買って、家電も買って、自分を作っていく。

　契約を済ませて、契約書をカバンに仕舞う。
　これで、新しい住所が出来たから、月曜日に転出届を出しに行くのに南代市(なみしろし)荘田区の区役所の場所も知らないから調べないと。
　そう言えば、警察に相談に行った時に出した被害防止援助の援助申出書の住民基本台帳の閲覧制限って、もしかしたら市町村が変わって、所轄も変わるから新しい住所の警察にも行った方がいいのかな。これも電話して聞かないといけない。
　でもこれだけは、しっかりと手続きをしておく。今度は、私は一人暮らしになるから自分の身は自分で守らないといけない。
　以前よりは不安は薄くなったけれど、まだ、安心出来ない自分がいる。

　いつまでも野々宮果歩の影がチラ付く事にウンザリしながら、もしも、今度会ったら何か言い返せるぐらいの気持ちを持とうと思った。