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「先輩、ご馳走さまでした」 「うん、美味しかったよ。ありがとう」 食事が終わると2人にお礼を言われて、恐縮してしまう。 「こちらこそ、たくさん助けて頂いて、ありがとうございました」  午後2時からノンアルコールで始まった食事会も午後4時になろうとしていた。  もう、お腹いっぱい。こんな時間の食事会だと夕飯は食べられないなと思ったけど、口に出すと注意されそうなので言わないで置く。 「用事が無ければ、送っていくよ」  と、三崎君が車のキーをチャリと見せた。 「そんな、悪いよ」 遠慮すると三崎君が柔らかい笑顔を浮かべる。 「たいした距離じゃないから大丈夫だよ」 「先生、お言葉に甘えてもいいですか?」 「もちろん」 「美緒先輩、甘えちゃいましょう。お腹いっぱいで、動きたくないです」  里美のチャッカリというか素直に甘えちゃいましょうとか言える所が、自分には無い部分で羨ましいと思った。 「じゃあ、甘えさせて頂きます」  里美に便乗させてもらって、口に出してみる。羨ましいと思ったら少し勇気を出して実行していかないといつまでも受け身なままになってしまう。  駅ビルの駐車場に停めてあった三崎君の車に乗り込んだ。  里美がいるから後ろの席に座ると里美も後ろの席に乗ってきた。  これじゃ、まるっきり運転手扱いみたいで気が引ける。かと言って、助手席に座り直すのも変な気がする。  「ごめんね。三崎君」 と運転席に座る三崎君に声を掛けた。  三崎君はクスッと笑ってから、こちらを向いて「少し寂しいだけで大丈夫だよ」と言った。  三崎君が前に向き直ると車がゆっくりと動き出した。  
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