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Side健治  美緒は、新居の見学に行くと言って朝から出掛けてしまった。  前に進んでいる姿を見て、安心もするが寂しくもあった。  野々宮果歩の心配がある以上、早く離れた方が良いんだと理解しているが、ひとり取り残されて行くような焦燥感に駆られる。  自分も前に進まなければと、ノートパソコンを開き大手就職のサイトにアクセスする。  ズラリと求人情報が並ぶのを見て、食いっぱぐれは無さそうだと思った。  来月には退職で、後2週間も通えば有給消化に入る。  たまには、のんびり旅行でもしようかと思い、結局は、旅行サイトを開いてしまう。  オススメのバーナーに沖縄があり、美緒と行った事を思い出した。  求人情報を見ていたはずなのに何をやっているのだか……。    気分転換に買い物に行ってビールでも買って来るかと、ソファーから立ち上がり大きく伸びをした。  サイフをデニムパンツの後ろポケットにねじ込み、スマホを片手に、それと家の鍵を持ち、玄関に向かい、少しくたびれたお気に入りのスニーカーを履いて玄関のドアを開けた。    エレベーターが来るのを階数表示をにらみながらジリジリと待って、やっと来たエレベーターに乗り込んだ。  マンションのエントランスホールに降り立つと透明ガラスのドアの向こうに美緒の姿が見えた。      
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