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Side健治  警察車両から降りた2人の警察官がバタバタと駆け寄って来た。三崎医師に抑えられ、すっかり大人しくなった野々宮果歩に近づく。  ああ、やっと来てくれたと安堵する。    対応に来てくれた警察官は、ベテランと若手といった感じの2人だった。  その警察官たちに野々宮果歩がストーカーである事、既にストーカーの相談に警察に行っている事、今日は”殺してやる”と切り掛かって来た事を説明し、野々宮果歩に対して被害届を出したいと伝えた。  話しを聞いたベテランの警察官が事情聴取をするからと言い。若手の方の警察官が野々宮果歩を引き受ける形になった。若手の警察官に促され、三崎医師が抑えていた手を緩めた。  その時、野々宮果歩が地面に落ちていたカッターナイフの刃先を拾い上げ、咄嗟に伸ばされた警察官の手を逃れる。虚ろな瞳に黒い炎を燃やし、再び奇声を発しながら俺に向かって切り掛かってくる。  ”殺してやる”の言葉を引き出したいばかりにキツイ言葉を投げかけた。  ”殺してやる”のワードで、ただの傷害罪から殺人未遂に変わる。  多少の怪我は、覚悟の上の行為だった。  刃先が、避けた左腕に触れると焼けるような鋭い痛みが走り、肉を切り裂いた。鮮血が滴り落ちる。  野々宮が再び警察官に取り押さえられる姿が、スローモーションのように見えた。 「健治!」  声が聞こえて振り向くと、美緒が今にも泣きそうな顔をしていた。        
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