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 病院からタクシーに乗って、途中コンビニに寄り、傷を撮影した写真をプリントアウトしてから警察署に行き、被害届の提出手続きを始めた。  被害届には、身分証明の他、印鑑も必要だという。たまたま。カバンの中に不動産屋さんの手続き用に浅木の印鑑は持っていてから大丈夫だと思った。  別の部屋で、手続きをしている健治は印鑑が無くて、どうしたのかな?と、少し気に掛かった。  証拠品として、診断書と傷の写真を提出。  それと、どんな風に写っているのか見直してはいないけど、スマホで撮影したデータも提出する。  前にもストーカー被害の相談で来ていたから気持ち的に落ち着いて手続きをする事が出来た。  警察署の廊下で暫く待っていると奥のドアから左腕をアームスリングで吊った健治が出て来る。顔を見るとホッとした。 「お待たせ、もう帰ろう。今日は、疲れたな」 「大変な一日だったね」  健治は、今日の出来事を思い出したかのように眉根を寄せて、苦しそうな顔をした。 「ああ、本当にな……大変だった。ごめんな。俺のせいで殴られて、痛いよな」 「大変だったけど、一区切りが付いたから……。私も健治もこれぐらいの怪我で済んでよかったんだよ」 私の言葉を聞いて健治がふっと表情を緩める。 「さあ、帰ろうか。腹減った」 「なんか買っていかないと何にもないよ」 「そうだよ。俺、コンビニに買い物をしに外に出たらあんな事になって、驚いたよ」 「私、ひとりだったら大変だった。健治が来てくれて良かった。それに里美と三崎君も来て……。あれ? あの2人ご飯食べた後に送ってくれて、車を見送ったんだよね。なんで、戻って来てくれたんだろ?」  健治は、クスリと笑い、言った。 「美緒が、みんなに愛されている証拠だな」      
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