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 Side美緒  肩から掛けていたバスタオルを受け取ると裸の上半身が露わになった。見慣れたはずの体なのに気恥ずかしくなり、思わず視線を逸してしまう。 「背中を拭くから後ろを向いて」  健治の肩幅のある背中を拭き終わり、ソファーに座るようにお願いした。  洗面所からドライヤーを持って来て、健治の髪を乾かし始める。  健治は、前にも私の髪を乾かしてくれていたけど、私が健治の髪を乾かすのは初めてかも……。  普段、上げている前髪を下ろしていると、雰囲気が柔らかくラフな感じで、私は下ろしている方が好きだな。  なんて、髪を梳きながら考えてしまう。  髪を乾かし終わり、ドライヤーをカチッと切ると急に周りの音が消えた。  緊張が高まる。 「健治……あのね……」  心臓がドキドキと早く鼓動している。  健治の後ろから手を回し、ギュッと抱きついた。 「ん? どうした?」 「私……自分に足り無いことも健治のせいにして責め立てて、逃げ出してごめんなさい」 「いや、元々は俺が美緒を裏切って、野々宮と関係を持ったのがいけないんだ。そんな事をしなければ、美緒に怖い思いをさせたり、殴られて痛い思いをさせたりしなくて済んだはず……。俺が全部悪いんだよ。俺の自業自得だ」  健治を抱きしめた私の手の上に健治の右手が重なり合う。   「健治……私……」  
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