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Side健治
電話を受けた俺たちは、タクシーを拾い、ビジネスホテル内にあるミーテングルームに赴いた。
指定された部屋のドアをノックして、部屋に入ると背広姿の男性2人が椅子から立ち上る。
その内のひとり、野々宮成明が俺と美緒をに向かい口を開いた。
「お忙しいところ、ご足労いただきありがとうございます。お怪我の具合はいかがでしょうか」
「……見ての通りです」
「本当に申し訳ございません。そして、今日ご足労願いましたのは、昨日お話させて頂きました、示談についてのご説明をさせて頂きたく存じます」
成明に同伴していたのは、弁護士で受け取った名刺には佐々木博とあった。
ミーテングルームは小会議室といった感じのところで、木目調の内装に白いパネルボードが置いてあり12人ほど入れる仕様。
会議用のテーブルを挟みに向かいあわせに腰を下ろして、説明を受けた。
話しの内容を要約すると、
例え、傷害・殺人未遂事件で実刑処分されたとしても今までのケースからみても数カ月から長くて数年で出て来る。
ただ、野々宮果歩の場合には既に既往歴があり、刑法その第39条に記載された「心神喪失者の行為は罰しない」にあたり、不起訴処分になる事も予想される。
との話だった。
体を張って、野々宮を逮捕まで持ち込んだと思っていたのに……。
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