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Side美緒  さっきまで指輪を買ったり、新居を見たりして、楽しい気分でいたのに一気に現実に戻された。  昨日、野々宮果歩が逮捕されて、それで終わりではなかった。  でも、以前のように野々宮果歩の影に怯えて大切な人を見失うような事はしない。  家に帰るタクシーの中で、難しい顔をしている健治の右手にそっと手を重ねた。  ふと、健治の表情が緩む。 「ねえ、健治。不幸になりたい人なんていないのに上手くいかないね」 「ああ、そうだな。弱い自分が、幸せになるための道を塞いでしまうんだろな」    誰にだって、心に隙が出来たり、心が弱ったりする事がある。そんな時にどうしても楽な方に流されてしまう。後で後悔しても遅いのに……。  でも、後悔を乗り越えて、少しずつでも前に進んで、前よりも強くなって、踏ん張れる力を付けて、取り戻すことだってできるはず。  もう、失くさないように健治に重ねた手をギュッと握り、その肩に寄りかかる。そして、健治が私の頭に寄りかかるように身を寄せた。  ふたりで寄り添いながら、車の振動に揺られて家まで帰った。          
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