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Side健治  大学時代からの友人の西川と新庄に無理を言って、先日の居酒屋まで足を運んでもらった。  洞窟風に小さく区切られた部屋は、込み入った話がし易い作りだ。  早めに着いた俺の後から西川と新庄が揃って現れた。  そして、俺を見るなり開口一番、 「どうした、それ⁉ もしかして、刺されたのか⁉」 と、冗談のつもりだったんだろう、西川がニヤニヤしながら俺に言った。 「ああ、野々宮にやられた」 「またまた、そんな事言って」  西川が言うと新庄が横で笑っている。 「いや、冗談じゃないんだ」 「「マジか!?」」と2人揃って青い顔になった。 「で、なんで、そんな状況で浅木ちゃんと再婚することになったんだよ!」 「まあ、後で説明するから、先にコレ、書いてくれる?」    俺は、A4の封筒をテーブルの上に置いた。西川がその中身を取り出すとクリアファイルに挟まれた可愛い絵柄の婚姻が現れた。  「マジか!」と呟きながら、ふたりは、その用紙の保証人の欄に署名捺印をした後、顔を上げ俺に向かって言った。 「浅木ちゃん以外の他の娘(ほかのこ)だったら縁切るからな」 「だよな」 「大丈夫だよ。浅木美緒以外は考えられない」 「浮気したヤツのいうセリフかよっ」 「それで、刺されたんだろ?」  そのタイミングで、ビールジョッキが3個とお通しが運ばれて来る。 「じゃ、菅生の気になり過ぎる再婚に乾杯」  と新庄が音頭を取った。 「「乾杯!」」 「お前、刺されるような事をして、なんで、浅木ちゃんと再婚になったんだよ」 「ホントになんでなんだろうな」  と笑った。
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