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注文した、唐揚げや刺身の盛り合わせやその他もろもろの料理が運ばれて来る。テーブルの上は、いっぱいになった。それらをつまみながら、俺は西川と新庄に、土曜日に起きた、野々宮がマンションの前で美緒を襲った話をした。警察に被害届を提出し、その翌日に美緒の方からやり直したいと言ってくれたも2人に語った。
「マジか? ドラマみたいだな……」
「野々宮、ヤバいな」
「いや、現実はドラマみたいに逮捕されて終わりじゃないから大変だよ。逮捕されれば、起訴されて裁判で有罪に判決、めでたしめでたし。なんて、ドラマだけなんだ。現実には起訴されるのなんて逮捕されたうちの3分の1程度だし、残りの6割以上が不起訴になるんだ。今回のケースも不起訴になりそうだしな」
はーっ、とため息が漏れる。
「それで、その重たい状況でなんで、浅木ちゃんがやり直したいと言ったのかが、わからないよ。お前に浮気されて、浮気相手に嫌がらせのストーカーされて、怪我したんだろ。俺なら最初に浮気がわかった時点でアウトだし、散々な目にあってやっと離婚して、それなのに殴られてケガして……やり直したいなんて普通言えないよな」
西川が、首を捻りビールを煽る。
「真実の愛ってやつか、良かったな菅生」
新庄のストレートな言葉に照れ笑いをしながら返事をする。
「ああ、よかったよ。何度も手間かけさせて悪いな」
「いいって、浅木ちゃんを大切にしろ。2度目の離婚届にはサインはしないからな。あっ、新庄の離婚届はいつでも書いてやるから、お前は、刺されないように気を付けろよ」
西川が言い、新庄をチラリと見る。
「なんで、俺にくるんだよ」と新庄が言うと3人で笑った。
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