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Side 美緒
明日、引っ越しを控えた水曜日。
まだ荷造りが終わっていない。健治は、戦力外なので会社に行ってもらって、私はコツコツ荷造りをしている。
キッチンの食器を片付け始めた。食器棚の中から食器を出して梱包し、段ボールにしまう。
お気に入りのやちむんの食器を包みながら、思いでのお皿を分け合う事のならなくて良かったと心から思った。
また、このお皿に料理をのせて、「美味しいね」って、なんでもない日常を大切に積み上げて行く。
キッチンの小物を段ボールに詰め終わると、こんなにたくさんモノが入っていたんだと驚いてしまう。二人暮らしでそれほど荷物が多くないイメージだけれど、引っ越しの荷造りをすると思いのほか荷物があった。
ふぅ、っと一息つき時計をみると、もうこんな時間。
洗面所に行き、鏡を見るとまだ顔の痣は青かったり黄色かったり、なかなかヒドイ。ファンデーションを塗っても隠せないからまだマスクは必要だなっと思った。
クローゼットに残しておいたスーツに着替え、慌てて健治と待ち合わせをした駅へと急いだ。
野々宮さんのご主人と示談の話し合いがまたある。
気は重いけれど、自分たちのために避けては通れない問題だ。
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