瞳から消えたもの 

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 たっぷりと湛えたバスタブのお湯が、動きに合わせてあふれて、その度に果歩が甘い声を上げる。 「んっ……んん……」 「ベッドに……移動しよう」 「だめ……あと、少し……」   果歩の腰が激しく動き、溢れる水音が大きくなる。  絶頂が近いのが、甘い声が一段と大きくなった。  波打つようにキュウっと俺のモノを締め付け、肩に掛けた手に力が入った。  と、同時に果歩の中に吐精してしまう。    力の抜けた果歩を抱きしめながら、気持ちが焦る。 「ごめん。中に出してしまった」  薄目を開けた果歩が少し微笑み。 「ピル……飲んでいるから……」  それを聞いてホッと息を吐く。  パシャと水音が聞こえ、果歩が体を大きく揺らして立ち上がった。  裸体が露わになるのも厭わず、俺を上から見下ろす。 「体、洗ってくれる?」  シャワーブースに移り、手のひらにボディーソープを付けて、果歩の身体のラインをなぞるように滑らした。  滑らかな背中を撫で、両腕を洗うと肩を撫でる。  今さらだが、胸に触れていいのか躊躇しているとそれを察した果歩が、俺の手の甲に手を重ね張のある胸の膨らみへ、誘導する。  クスクス笑い。俺の首に手を回し、キスをした。 「やっぱり、あなたを選んでよかったわ」    と、猫のような瞳を向けた。 「ねえ、ベッドに行きましょう」          
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