お仕事中

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 朝の診察前の時間。  立ち上げたPCには、受付を済ました患者さんの名前が並び始めた。 「三崎先生、少しお時間頂いてもよろしいですか?」  内科勤務の5人いる看護師のうちの1人、岩田さんに声を掛けられた。   「はい、大丈夫ですよ」 と、岩田さんに視線を向ける。岩田さんは、アラフォー世代の女性で確かバツイチだったような。近々、田舎に帰ると聞いた。 「私、今日がラストの勤務になります。短い間でしたが、お世話になりました」  岩田さんは、深々と頭を下げた。 「いえ、こちらこそお世話になりました。色々と気を配って頂いたので、仕事がし易かったです」  ニッコリ岩田さんに向かってお礼を言う。 「先生にそう言って頂けて、看護師冥利につきます」 「では、今日1日よろしくお願いします」 と言って、PCに視線を戻しカルテを呼び出す。 「あの、先生……」 「はい?」 「いえ、なんでもありません」    岩田さんは首を振り、踵を返して奥の処置室の方に入って行く。  不思議に思いながらも診察時間が開始され、忙しい1日が始まった。  そして、お昼休みになると、伯父でもある蒔田医院長に呼び出され、医院長の扉をノックした。          
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